【中古】 いたずらキューピット／シンデレラになる夜 / メアリー・ライアンズ, 星合 操 / 宙出版 [コミック]【ネコポス発送】

『いたずらキューピット／シンデレラになる夜』感想レビュー

メアリー・ライアンズ著、星合操訳によるコミック『いたずらキューピット／シンデレラになる夜』を読了しました。宙出版から刊行された本書は、ロマンティックコメディがお好きな方にはきっと心に響くであろう、可愛らしくも切ない物語でした。今回は、この作品の魅力について、じっくりとお伝えしたいと思います。

物語の魅力：シンデレラストーリーの新しい形

まず、物語の核となるのは、まさにタイトルにある「シンデレラ」の要素です。主人公の女性が、ある出来事をきっかけに、まるでシンデレラのように輝かしい変身を遂げる機会を得ます。しかし、この作品は単なるシンデレラストーリーの焼き直しではありません。そこに「いたずらキューピット」というユニークな仕掛けが加わることで、物語に予想外の展開とユーモアが生まれています。

意図せぬ形で、あるいは意図的に、登場人物たちの恋愛模様に介入してくる「キューピット」。その存在が、主人公と相手役の男性との関係を、時に混乱させ、時に加速させます。この「いたずら」が、単なる障害となるだけでなく、二人の絆を深めるきっかけとなる様が、巧みに描かれています。読んでいるこちらも、思わず「キューピットめ！」と声を上げたくなるような、微笑ましい状況の連続に引き込まれます。

特に、主人公が本来持っている魅力や、相手役の男性の秘めた優しさが、キューピットのいたずらによって引き出されていく過程は、見どころの一つです。表面的な取り繕いや駆け引きではなく、本音と本音がぶつかり合う、ピュアな感情のやり取りが丁寧に描かれているため、読者は二人の恋愛の行方をハラハラドキドキしながら見守ることができます。

キャラクター：愛すべき登場人物たち

本作の魅力は、なんといっても登場人物たちの個性豊かなキャラクター造形にあります。主人公は、決して完璧ではなく、時にはドジをしてしまうような等身大の女性です。しかし、その一生懸命さや、相手を思いやる優しさが、読者の共感を呼びます。彼女が困難に立ち向かい、自分らしく輝こうとする姿は、多くの女性に勇気を与えるでしょう。

そして、相手役の男性もまた、魅力的な存在です。一見クールに見えたり、あるいは少しぶっきらぼうに見えたりするかもしれませんが、その内面には優しさや情熱を秘めています。主人公との関係を通して、彼の意外な一面が垣間見えるたびに、読者は「この二人の関係、応援したい！」という気持ちを強くさせられます。

また、「いたずらキューピット」という存在も、単なる物語のギミックではなく、個性を持ったキャラクターとして描かれているのが面白い点です。彼（あるいは彼女？）の行動原理や、時折見せる人間臭い（？）一面は、物語に深みと面白さを加えています。

作画：繊細で表情豊かなイラスト

星合操さんの描くイラストは、繊細で女性らしいタッチが特徴です。登場人物たちの表情がとても豊かで、喜び、悲しみ、怒り、ときめきといった感情が、コマの端々から伝わってきます。特に、主人公の可愛らしさや、相手役の男性のクールな表情、そして二人が惹かれ合う瞬間のきらめきは、イラストによって見事に表現されています。

風景描写や背景の細部にもこだわりが見られ、物語の世界観をより一層引き立てています。読者は、イラストを通して、登場人物たちの心情をより深く理解し、物語に没入することができます。絵の美しさと、物語の繊細さが相まって、読後感も心地よいものになっています。

まとめ

『いたずらキューピット／シンデレラになる夜』は、王道ロマンティックコメディの要素に、オリジナリティ溢れる「いたずらキューピット」という仕掛けを加えることで、読者を飽きさせない魅力的な作品となっています。主人公の成長、相手役との恋愛模様、そしてそれを彩る個性豊かなキャラクターたち、そして美しいイラスト。その全てが調和し、読後に温かい余韻を残してくれます。

日々の忙しさから少し離れて、甘酸っぱく、そして心温まる物語に触れたい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。きっと、あなたも「いたずらキューピット」の魔法にかかってしまうことでしょう。

上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください