政略結婚のスパダリ弁護士はママとベビーに揺るぎない猛愛を証明する 1/藤原基央/著 有坂芽流/原作 感想レビュー
藤原基央先生と有坂芽流先生による「政略結婚のスパダリ弁護士はママとベビーに揺るぎない猛愛を証明する 1」を読了しました。この作品は、政略結婚という、現代ではあまり一般的ではない状況から始まる、しかしながら読後感は非常に温かく、そして胸を打たれるロマンスです。特に、主人公である弁護士・新堂奏人(しんどうかなと)の、一見クールで計算高い人物像とは裏腹の、内に秘めた熱い愛情表現が、物語の最大の魅力と言えるでしょう。
政略結婚から始まる、予想外の絆
物語は、主人公の奏人が、ある目的のために、シングルマザーである橘心春(たちばなこはる)と政略結婚をすることから始まります。心春には、幼い娘であるさくらがいます。奏人は、当初、結婚はあくまでビジネスライクなものと捉え、感情を挟むつもりはありませんでした。しかし、心春とさくらとの生活の中で、徐々に彼の心に変化が芽生えていきます。
奏人の変化:クールな仮面の下の優しさ
奏人のキャラクター造形は秀逸です。弁護士という職業柄、常に論理的で冷静沈着。感情を表に出すことを極端に避ける彼の姿は、一見すると冷たい印象を与えます。しかし、さくらとの触れ合いを通じて、彼の優しさや保護欲が徐々に垣間見え始めます。特に、さくらが奏人に心を開いていく過程は、非常に丁寧に描かれており、読んでいるこちらまで心が温かくなります。さくらが奏人を「パパ」と呼ぶようになった時の、奏人の内面の動揺と喜びは、言葉少なながらも表情や仕草で表現されており、彼の不器用な愛情が痛いほど伝わってきます。
心春の葛藤と成長
一方、心春もまた、政略結婚という状況に戸惑いながらも、娘のために強くあろうとします。シングルマザーとしての苦労や、奏人への複雑な感情が、繊細に描かれています。奏人の唐突な優しさや、時折見せる愛情表現に、戸惑いながらも惹かれていく彼女の姿は、共感を呼びます。物語が進むにつれて、心春もまた、奏人との関係性の中で、以前よりもっと自分らしく、そして強く生きていくための糧を得ていく様子が伺えます。
「スパダリ」という言葉の真意
この作品のキーワードとも言える「スパダリ」。単に経済力や容姿に恵まれた理想の男性というだけでなく、この作品における奏人の「スパダリ」ぶりは、その揺るぎない愛情と、相手を守り抜く強さにこそあります。彼の愛情表現は、時に強引にさえ感じられますが、それは決して独りよがりなものではなく、心春とさくらを心から大切に思っているがゆえなのです。彼の行動一つ一つに、二人の幸せを願う気持ちが込められており、それが読者の心を掴みます。特に、心春が抱える過去のトラウマや、さくらに降りかかるかもしれない困難に対して、奏人が毅然とした態度で立ち向かう姿は、「守ってくれる」という安心感を与えてくれます。
ベビーへの愛情表現
そして、この作品を語る上で欠かせないのが、ベビー、つまりさくらへの愛情です。奏人がさくらに徐々に心を開き、父親として愛情を注いでいく過程は、この物語の核となる部分です。さくらが奏人に懐いていく様子、そして奏人がさくらのために奮闘する姿は、読者に微笑ましい感動を与えます。さくらの無垢な笑顔が、奏人の硬い心を解きほぐし、家族としての絆を深めていく様子は、まさに「愛」が人を変えることを体現しています。
今後の展開への期待
1巻を読み終えて、奏人と心春、そしてさくらの三人の関係性が、政略結婚という枠を超え、本物の家族へと発展していく未来が目に浮かびます。奏人の過去や、彼が政略結婚を選んだ真の理由など、まだ明かされていない謎もあり、今後の展開が非常に気になります。心春が抱える過去の傷がどのように癒されていくのか、そして奏人の愛情がさらにどのように深まっていくのか、次巻以降で描かれるであろう、彼らの愛の行方が楽しみでなりません。
まとめ
「政略結婚のスパダリ弁護士はママとベビーに揺るぎない猛愛を証明する 1」は、政略結婚という設定ながら、登場人物たちの心情が丁寧に描かれており、読後感は非常に温かい、王道ラブストーリーと言えるでしょう。クールな主人公の、不器用ながらも揺るぎない愛情表現、そしてシングルマザーと子供という、守られるべき存在への深い愛情が、読者の心をしっかりと掴みます。胸キュン必至の展開と、登場人物たちの成長に、これからも目が離せません。心温まるロマンスを求めている方には、ぜひおすすめしたい一作です。
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