コミック「お姉ちゃんが来た」14巻 感想レビュー
「お姉ちゃんが来た」14巻、ついに発売!表紙の可憐な仕草にもはや期待は高まるばかり。今巻も、橘家の日常に繰り広げられるドタバタ劇、そして主人公・海(うみ)と、彼に想いを寄せる(?)3姉妹の、もはや“家族”とも言えない複雑な関係性が、さらに深化していく様子が描かれています。読めば読むほど、彼らの関係性の奇妙さに笑いが止まらなくなり、そしてどこか切なくなってしまう。そんな「お姉ちゃんが来た」ならではの魅力を、14巻も存分に堪能できる一冊でした。
新たな波乱!? そして進展する想い
今巻の大きな見どころの一つは、海が抱える「秘密」が、少しずつ、しかし確実に周囲に波紋を広げていく点です。特に、三女・蒼衣(あおい)の、海に対する言動がこれまで以上に過激になり、その行動原理の裏にある複雑な感情が垣間見えます。単なる「海が好き」というレベルを超えた、歪んだ、しかし純粋な想いが、読者に強烈な印象を残します。蒼衣の暴走とも思える行動は、時に読者の度肝を抜き、時に共感を呼び起こす。彼女のキャラクターの深みが、この巻でさらに増したと言えるでしょう。
そして、次女・空(そら)も、相変わらずのマイペースながら、海との距離を縮めようとする健気な一面を見せます。空の「天然」とも思えるアプローチは、蒼衣の「積極的」なアプローチとは対照的であり、その違いがまた、読者を楽しませてくれます。彼女の周りで見せる、いつもと変わらない優しさや気遣いが、海にとってどれほど支えになっているのかが、静かに伝わってきます。
長女・春日(かすが)も、健在です。海への「お姉ちゃん」としての愛情と、それ以外の感情との間で揺れ動く様子は、今回も健気であり、そしてどこか痛々しい。彼女の抱える葛藤は、読者に「本当の姉妹とは何か」を考えさせられると同時に、海という存在が、彼女たちにとってどれほど特別なものになっているのかを浮き彫りにします。
日常に潜む、繊細な心理描写
「お姉ちゃんが来た」の魅力は、単なるコメディに留まらない、登場人物たちの繊細な心理描写にもあります。14巻でも、海が抱える「秘密」が、彼の言動に subtle な影響を与え、それがまた、3姉妹の反応に変化をもたらします。海自身も、彼らとの生活の中で、自分の感情に戸惑い、変化していく様子が丁寧に描かれています。
特に、海が3姉妹に対して抱く「家族」という感情と、それ以外の感情との間で揺れ動く心情は、読者も共感せずにはいられないでしょう。彼らの関係性は、社会的な常識や倫理観からは逸脱しているかもしれませんが、その中に描かれる「愛」や「絆」は、普遍的なものであることを感じさせます。この、危うさと純粋さが同居する感情の機微が、「お姉ちゃんが来た」を単なるエロコメディに終わらせない、深みのある作品にしている所以だと改めて感じました。
コメディ要素の健在と、新たな展開への期待
もちろん、14巻も「お姉ちゃんが来た」らしい、予測不能なギャグや、思わず吹き出してしまうようなシーンが満載です。3姉妹の個性的な言動や、それに対する海のとっさの反応など、読者を飽きさせない工夫が随所に散りばめられています。
しかし、今巻では、単なる日常のドタバタ劇に留まらず、物語の根幹に関わるような、新たな展開の予感も感じさせます。海の「秘密」が、今後どのように物語に影響を与えていくのか。そして、3姉妹との関係性が、さらにどのような方向へと進んでいくのか。14巻を読み終えた後には、次巻への期待が自然と高まります。
まとめ
「お姉ちゃんが来た」14巻は、キャラクターたちの魅力、繊細な心理描写、そして健在のコメディ要素と、シリーズの魅力が凝縮された一冊でした。特に、蒼衣のキャラクターの掘り下げと、海を取り巻く人間関係の更なる深化は、読者を引きつけてやまないでしょう。彼らの「家族」とも「家族でない」とも言える、奇妙で、でもどこか愛おしい関係性が、これからもどのように描かれていくのか、次巻が待ちきれません。橘家の「普通」ではない日常に、これからも目が離せません!
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