コミック:斎藤義龍に生まれ変わったので、織田信長に国譲りして長生きするのを目指します! 7 (少年チャンピオン・コミックス) [ 巽未頼 ] 感想レビュー
巽未頼先生の「斎藤義龍に生まれ変わったので、織田信長に国譲りして長生きするのを目指します!」第7巻は、異世界転生モノでありながら、戦国時代という重厚な舞台設定と、主人公・斎藤義龍のユニークな野望が織りなす、非常に読み応えのある一冊でした。前巻までの伏線が回収されつつ、更なる波乱の展開が予感される、まさに物語の転換点とも言える巻と言えるでしょう。
物語の核心に迫る展開
今巻の最大の見どころは、主人公・斎藤義龍が、自身の「病弱」という過去の弱点を克服し、更なる高みを目指す姿が克明に描かれている点です。長年の病に苦しみ、早世するという歴史の悲劇を覆すべく、現代知識と戦国時代の知恵を融合させた義龍の行動は、読者を惹きつけてやみません。特に、織田信長との関係性がより深まり、単なる敵対関係から、互いを認め合う(あるいは利用し合う)関係へと変貌していく過程は、目が離せません。
歴史上の人物たちが、本来のイメージとは異なる一面を見せてくれるのも、この作品の魅力です。義龍の冷静沈着かつ大胆な戦略、そして信長のカリスマ性と、時折見せる人間らしい葛藤。これらのキャラクター描写が、物語に奥行きを与えています。特に、今巻では、信長が義龍の持つ「不思議な力」に気づき始める描写があり、これが今後の展開にどのような影響を与えるのか、大きな期待が寄せられます。
史実との乖離が生む面白さ
「歴史改変モノ」として、史実をどのように調理しているかも、この作品の醍醐味です。義龍が歴史の流れを読み、自身の生存と信長への国譲りという「長生き」という目的のために、大胆な行動を起こしていく様子は、史実を知っている者にとっては、ニヤリとさせられる仕掛けが随所に散りばめられています。しかし、単なる歴史のパロディに終わらず、義龍自身の葛藤や、彼を取り巻く人々のドラマもしっかりと描かれているため、史実を知らない読者でも十分に楽しめるはずです。
第7巻では、義龍が自身の「死」という宿命に正面から向き合い、それを乗り越えようとする姿勢が、より強く打ち出されています。彼が単に「長生きしたい」という個人的な願望だけでなく、自身の生き様を通じて、周囲の人々や時代にどのような影響を与えようとしているのか、その思想の深まりが感じられます。これは、単なる異世界転生モノの枠を超えた、人間ドラマとしての側面も強めていると言えるでしょう。
キャラクターたちの成長と関係性の深化
今巻では、義龍だけでなく、彼を取り巻くキャラクターたちの描写も光ります。例えば、彼を支える家臣たちの忠誠心や、義龍の奇策に戸惑いながらも従う姿は、読者に安心感と共感を与えます。また、信長との関係性が、単なる権力闘争から、次第に個としての対話へと変化していく様子は、非常に興味深いです。互いの知略をぶつけ合いながらも、どこか相手を認め合っているような、微妙な距離感が巧みに描かれています。
特に、義龍が現代の知識、例えば衛生観念や医療知識などを、戦国時代に適用しようとする試みは、彼の「長生き」への強い意志を感じさせると同時に、当時の人々との間に生じる摩擦や、それらを乗り越えていく過程が、コミカルかつシリアスに描かれており、飽きさせません。彼の行動が、意図せずして時代を動かしていく様は、まさに「歴史の歯車」を回しているかのようです。
次巻への期待感
第7巻は、数々の謎や伏線が提示され、次巻への期待感を大いに煽る終わり方でした。義龍の「長生き」という目標は、果たして達成されるのか。信長との関係は、さらにどのように変化していくのか。そして、彼が現代知識を持ち込むことで、歴史はどのように塗り替えられていくのか。これらの疑問が、読者の心を掴んで離しません。巽未頼先生の描く、ユニークな設定と魅力的なキャラクターたちが織りなす物語は、これからも目が離せません。
特に、義龍が自身の「病」を克服する過程で、どのような新たな「強み」を見出すのか、それが信長との関係や、天下の行方にどう影響するのか、非常に興味深いです。また、彼が現代の知識を応用する際に、どのような倫理的な葛藤に直面するのかも、描かれるとさらに深みが増すでしょう。第7巻は、物語が大きく動き出す、まさに「序章」の終わりであり、「本章」の始まりを感じさせる、非常に満足度の高い一冊でした。
まとめ
「斎藤義龍に生まれ変わったので、織田信長に国譲りして長生きするのを目指します!」第7巻は、主人公の成長、キャラクターたちの深化、そして歴史改変の面白さが絶妙に融合した、見応えのある作品でした。巽未頼先生の巧みなストーリーテリングと、個性豊かなキャラクターたちが織りなすドラマは、読者を飽きさせません。次巻以降も、このユニークな歴史改変ファンタジーから目が離せないことは間違いありません。戦国時代という舞台で繰り広げられる、主人公の「長生き」への奔走と、それに伴う人間ドラマの展開に、これからも期待したいと思います。
上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください
![境界の道で 森野鈴鹿作品集 (ハルタコミックス) [ 森野 鈴鹿 ] 境界の道で 森野鈴鹿作品集 (ハルタコミックス) [ 森野 鈴鹿 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/9497/9784047379497_1_4.jpg?_ex=128x128)
![ぼくと仁義なきおじさん 3 (ジャンプコミックス) [ 百世 渡 ] ぼくと仁義なきおじさん 3 (ジャンプコミックス) [ 百世 渡 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/7154/9784088837154_1_3.jpg?_ex=128x128)
コメント