【中古】WORKING!! 1/スクウェア・エニックス/高津カリノ(コミック) 感想レビュー
序章:ワグナリアへの招待
思わず手に取ってしまう、そんな魅力に溢れた作品との出会いは、読書体験において何よりも嬉しいものです。今回手に取ったのは、スクウェア・エニックスから刊行された高津カリノ先生の「WORKING!!」第1巻。中古品ではありますが、その魅力は色褪せることなく、私をワグナリアという不思議なファミリーレストランの世界へと誘ってくれました。
この巻は、物語の導入部として、個性豊かなキャラクターたちが次々と登場し、読者を飽きさせないテンポで展開していきます。主人公の小鳥遊宗太(たかなし そうた)は、一見するとごく普通の高校生ですが、彼がワグナリアでアルバイトを始めることになった理由、そしてそこで出会う人々との関係性が、この物語の核となっていくのです。
キャラクターたちの躍動:ワグナリアの日常
小鳥遊宗太:巻き込まれ型主人公の奮闘
宗太くんは、「かわいいものが好き」という、一見すると男子高校生らしからぬ一面を持っています。しかし、その繊細な感性ゆえに、周囲の個性的なキャラクターたちの言動に振り回され、ツッコミ役として奮闘する姿が描かれます。彼の周囲には、「家族」という共通項で結ばれた(?)ワグナリアの従業員たちが集まっており、彼らの抱える様々な「事情」が、宗太くんを波乱の日々に巻き込んでいきます。
個性派揃いのワグナリアクルー
まず目を引くのは、「男嫌い」という強烈な設定を持つ伊波まひる。彼女の男に対する過剰なまでの拒否反応は、宗太くんにとってはまさに悪夢。しかし、その根底には、彼女なりの過去のトラウマが隠されており、単なるギャグキャラクターで終わらない奥行きを感じさせます。
次に、「家族」をこよなく愛し、そのためにアルバイトをしているという、一見すると理想的な従業員、種島ぽぷら。しかし、彼女の「家族」への愛情表現は、どこかズレており、その幼い見た目とは裏腹に、達観したような言動が光ります。小柄で元気いっぱいの彼女ですが、その行動原理には、彼女なりの「家族」への想いが強く働いています。
さらに、「極度の面倒くさがり」で、いつも寝ているかのように見えるという、静属性の白藤杏子。彼女は、普段はほとんど動こうとしませんが、「食」に対する情熱は誰よりも強く、その食欲と独特の感性で、周囲を驚かせます。彼女の「面倒くさがり」の裏には、何かを守ろうとするような、静かな芯の強さが感じられます。
そして、「女性恐怖症」という、宗太くんとはまた違った意味で大変な状況に置かれている、相馬博臣。彼の女性に対する極端な反応は、時にコミカルに、時にシリアスに描かれます。彼は、「彼女」に依存するような一面も見せ、その複雑な心情が、物語に深みを与えています。
日常に潜む「普通」の尊さ
これらのキャラクターたちが織りなすワグナリアの日常は、一見すると奇妙で、「普通」とはかけ離れているように見えます。しかし、その奇妙さの中にこそ、彼ら一人ひとりが抱える人間的な弱さや、「普通」に生きたいと願う気持ちが垣間見えます。高津先生は、そんな彼らの「普通」を、ユーモアと温かさをもって描き出しています。
絵柄とストーリーテリング:心に響く筆致
高津カリノ先生の描くキャラクターたちは、「デフォルメ」が効いていながらも、表情豊かで、感情が伝わってきます。特に、宗太くんの困惑した表情や、ぽぷらのキラキラした笑顔、まひるの怒った顔などは、「思わずクスリとしてしまう」ような魅力があります。
また、コマ割りも巧みで、キャラクターたちの息遣いが感じられるような、臨場感のある展開です。テンポの良い会話劇と、随所に挟まれる「シュールなボケ」が、読者を飽きさせません。しかし、単なるギャグ漫画で終わるのではなく、キャラクターたちの抱える「悩み」や「葛藤」が丁寧に描かれているため、読後には「温かい感動」が残ります。
まとめ
「WORKING!!」第1巻は、「強烈な個性を持ったキャラクターたちが織りなす、ハートフルコメディ」としての魅力を存分に発揮しています。日常に潜む「普通」の尊さ、そして、「家族」とは何か、「繋がり」とは何か、といった普遍的なテーマを、ユーモアを交えながら深く掘り下げています。
中古品であるにも関わらず、その物語の力強さ、キャラクターたちの愛らしさは、全く色褪せていませんでした。この1冊を読むだけで、ワグナリアという「温かい空間」に「迷い込む」ことができます。
これから「WORKING!!」の世界を「冒険」したいと考えている方、あるいは、「心温まる」読書体験を求めている方には、ぜひともこの第1巻をおすすめします。きっと、あなたもワグナリアの魅力に「囚われる」ことでしょう。
上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください


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