悪役令嬢の矜持～婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。～（コミック）（3） （ガンガンコミックスUP！） [ メアリー＝ドゥ ]

悪役令嬢の矜持～婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。～（コミック）（3） （ガンガンコミックスUP！） [ メアリー＝ドゥ ]

「悪役令嬢の矜持～婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。～（コミック）（3）」感想レビュー

ガンガンコミックスUP！から刊行された「悪役令嬢の矜持～婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。～（コミック）（3）」は、前巻までの強烈な展開を引き継ぎ、主人公エリカの破滅へのカウントダウンがますます加速していく様を描いています。

エリカの傲慢さとその代償

今巻もまた、エリカの自信と傲慢さが読者の度肝を抜きます。婚約者を奪い、義姉を陥れた過去の行動は、単なる一時的な感情の爆発ではなく、彼女自身の価値観に深く根ざしていることが伺えます。しかし、その強烈な自己肯定感も、周囲の思惑や王国の情勢、そして何より「破滅」という避けられない運命の奔流の前では、脆くも崩れ去っていく様が描かれるため、読者としては冷や汗をかきながらも、その結末を期待せずにはいられません。

特に、エリカが自身の行動を正当化しようとする様や、状況をコントロールしようと躍起になる姿は、彼女がどれほど追い詰められているかを浮き彫りにします。しかし、その努力が空回りし、思わぬ方向へ物事が進んでいく様子は、皮肉にも「悪役令嬢」という物語の定石を忠実に踏襲しており、読者に期待通りの（あるいはそれを超える）展開を提供してくれます。

複雑化する人間関係と隠された意図

エリカを取り巻く人間関係は、今巻でさらに複雑な様相を呈します。かつて彼女に敵対していた人物や、彼女の計画に加担していた人物たちの思惑が交錯し、エリカの孤立は深まるばかりです。一方で、エリカの行動の裏には、彼女自身も気づいていない、あるいは意図していなかった影響が数多く存在していることが示唆されます。

特に、エリカの婚約者であるリヒターや、彼女に追いやられた義姉などのキャラクターの行動原理が、より深く掘り下げられています。彼らの単なる復讐心や憎しみといった感情だけでなく、それぞれの立場や過去の経験が、現在の行動にどのように影響しているのかが垣間見えることで、物語に奥行きが生まれています。エリカはあくまで「悪役令嬢」として描かれていますが、彼女を取り巻く登場人物たちもまた、それぞれに複雑な内面や葛藤を抱えていることが、物語の深みとなっています。

破滅への足音と読者の期待

「どうやら今から破滅するようです」というタイトル通り、破滅への足音が着実に聞こえてくる今巻は、読者の期待を裏切りません。エリカの悪行が積み重なることで、彼女の周囲で起こる出来事のスケールも大きくなり、その影響は王国全体にまで及ぶ可能性を示唆しています。

しかし、単なる破滅の描写に終始するのではなく、その過程でエリカがどのように変化していくのか、あるいは全く変化しないのか、その点にも注目が集まります。彼女の「矜持」が、破滅の淵でどのように現れるのか。あるいは、彼女が破滅を受け入れることで、新たな境地に至るのか。これらの疑問が、次巻への期待を大いに掻き立てます。

作画の力強さとコマ割りの妙

作画も、エリカの感情の起伏や、物語の緊迫感を巧みに表現しています。特に、エリカが激昂するシーンや、絶望に打ちひしがれるシーンの迫力は目を見張るものがあります。また、コマ割りも、物語のテンポを良くし、読者を飽きさせない工夫が随所に見られます。キャラクターの表情の細やかな描写は、彼らの心情をより鮮明に伝え、読者の共感や反感を呼び起こします。

総評

「悪役令嬢の矜持～婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。～（コミック）（3）」は、期待通りの、いやそれ以上の面白さでした。エリカの傲慢さと、それによって招かれる破滅の連鎖が、読者を飽きさせない展開で描かれています。人間関係の複雑化、隠された意図、そして破滅へのカウントダウンと、次巻が待ちきれない要素が満載です。悪役令嬢もののファンはもちろん、どんでん返しやダークファンタジーが好きな方にも強くお勧めできる一冊です。エリカの「矜持」が、彼女の運命をどう変えていくのか、固唾を飲んで見守りたいと思います。

上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください