恋のカタチは四角形 (ジェラートコミックス ジェラートコミックス CMG24) [ 塩田キョウカ ]

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恋のカタチは四角形 (ジェラートコミックス ジェラートコミックス CMG24) [ 塩田キョウカ ]

恋のカタチは四角形 (ジェラートコミックス ジェラートコミックス CMG24) [ 塩田キョウカ ]

「恋のカタチは四角形」、甘さと切なさが織りなす新感覚ラブコメディ

今回レビューする作品は、塩田キョウカ先生による「恋のカタチは四角形」です。ジェラートコミックスから刊行された本作は、読めば読むほどに登場人物たちの心情に引き込まれ、甘酸っぱい感情が胸を締め付ける、そんな魅力に溢れた一冊でした。

予想外の展開にドキドキ!四角関係の行方

物語は、主人公である女子高生・ミオが、想いを寄せる先輩に告白しようとした矢先に、予期せぬ出来事に巻き込まれるところから始まります。その出来事とは、なんと意中の先輩の親友であるクールな先輩と、そしてクールな先輩の幼馴染である元気な先輩、さらにクールな先輩の幼馴染の妹という、何とも複雑な関係性の中にミオが放り込まれてしまうのです。

この四角関係という設定自体は、恋愛漫画ではよく見られるものですが、「恋のカタチは四角形」の凄いところは、その関係性の描き方にあります。単なる「三角関係の延長」といった生易しいものではなく、それぞれのキャラクターが抱える過去の出来事や、互いへの複雑な感情が絡み合い、読んでいるこちらまで頭を抱えてしまうほど。

特に、ミオが憧れる先輩の秘めたる想いや、クールな先輩の優しさの裏に隠された孤独、そして元気な先輩の明るさの中に垣間見える情熱など、登場人物一人ひとりが抱える「カタチ」が非常に丁寧に描かれています。読者は、誰かを応援したい気持ちと、誰かの苦しみに共感する気持ちの間で揺れ動きながら、物語の展開に一喜一憂することになるでしょう。

キャラクターの魅力に引き込まれる

塩田キョウカ先生の描くキャラクターは、とにかく魅力的です。主人公のミオは、一生懸命で健気なのですが、時折見せる不器用さや、感情が顔に出てしまうところが愛らしい。彼女のまっすぐな想いは、読者の共感を呼び、応援したくなる気持ちを掻き立てます。

そして、ミオを取り巻く3人の先輩たち。それぞれに異なる魅力があり、誰が一番魅力的かと選ぶのが難しいほどです。憧れの先輩は、ミオの眩しさに戸惑いながらも、徐々に惹かれていく様子が微笑ましい。クールな先輩は、一見すると何を考えているのか分からない掴みどころのない人物ですが、ふとした瞬間に見せる優しさや、ミオへの不器用なアプローチにドキッとさせられます。元気な先輩は、太陽のような存在で、ミオの心を明るく照らしてくれるのですが、その明るさの裏には、秘めたる情熱と、ミオへの強い想いが隠されています。

さらに、クールな先輩の幼馴染の妹も、物語のキーパーソンとして重要な役割を果たします。彼女の存在が、四角関係にさらなる波乱を巻き起こし、読者の予想を良い意味で裏切ってくれます。

繊細な心理描写と巧みなストーリーテリング

本作のもう一つの魅力は、登場人物たちの繊細な心理描写です。言葉にならない想いや、秘めたる嫉妬、そして募る愛情。それらが、キャラクターの表情や仕草、そしてモノローグを通して、読者に鮮やかに伝わってきます。

特に、片思いの切なさや、想いがすれ違う苦しさといった、恋愛における普遍的な感情が、非常にリアルに描かれています。読んでいると、思わず自分の過去の恋愛経験を思い出してしまうような、そんな懐かしさや共感を覚えるのではないでしょうか。

また、ストーリーテリングも巧みです。伏線が散りばめられており、読み進めるうちにそれらが回収されていく様は、まさに圧巻。読者は、次に何が起こるのか、誰の想いが成就するのか、最後まで目が離せません。

読後感は?

「恋のカタチは四角形」を読み終えた後、胸には温かい余韻が残りました。甘酸っぱさと、ほんの少しの切なさ。そして、登場人物たちの成長を見守った満足感。まさに、青春の甘酸っぱさをギュッと凝縮したような作品と言えるでしょう。

恋愛漫画が好きな方、複雑な人間関係のドラマが好きな方、そして何よりも、登場人物たちの心情に寄り添って物語を楽しみたい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。この四角形が、どのような「カタチ」として結実していくのか、読者の想像力を掻き立てながら、心温まる感動を与えてくれるはずです。

塩田キョウカ先生の今後の作品にも、ますます期待が高まります。

上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください

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