【中古】純白のウエディング /ハ-パ-コリンズ・ジャパン/藍まりと（コミック）

【中古】純白のウエディング /ハ-パ-コリンズ・ジャパン/藍まりと（コミック） 感想レビュー

ハ-パ-コリンズ・ジャパンから刊行された藍まりと先生のコミック【中古】純白のウエディング。中古市場で偶然見かけ、そのタイトルと挿絵の美しさに惹かれて手に取った作品です。読み終えて、期待以上の感動と切なさを胸に抱き、このレビューを書いています。

物語の導入：運命の再会と秘められた過去

物語は、主人公であるウェディングプランナーの「星野 雫（ほしの しずく）」が、ある日突然現れた謎の男性「桐島 蓮（きりしま れん）」に遭遇することから始まります。蓮は、雫がかつて深く愛していた、しかし突然姿を消した初恋の人に瓜二つでした。しかし、蓮は雫のことを覚えていない様子。この運命の再会とも呼べる出来事は、雫の心に波紋を広げ、過去の痛みを再び呼び覚まします。

蓮は、有名でありながらもどこか影のある建築家。彼の登場は、雫の日常に大きな変化をもたらします。蓮は、仕事で雫が担当するホテルのウェディング会場のデザインを手掛けることになり、二人は否応なく共に時間を過ごすことになります。その中で、雫は蓮の冷たい態度や、時折見せる寂しげな表情に、かつての彼を重ね合わせてしまうのです。

キャラクター造形：繊細な心理描写と魅力的な人物像

藍まりと先生の筆致は、登場人物たちの繊細な心理描写に定評がありますが、本作でもその才能は遺憾なく発揮されています。雫は、過去の傷を抱えながらも、仕事に情熱を注ぎ、人々を幸せにしたいと願う健気な女性として描かれています。蓮に対して抱く複雑な感情、喜び、悲しみ、そして諦めきれない想いが、丁寧に紡ぎ出されていきます。

一方の蓮も、一見クールで無関心に見えますが、その奥には深い愛情と、過去に囚われた苦悩が隠されています。彼の過去に何があったのか、なぜ雫のことを覚えていないのか。その謎が徐々に明かされていく過程は、読者を引き込み、彼の行動原理への理解を深めてくれます。脇を固めるキャラクターたちも、それぞれに個性があり、物語に彩りを添えています。特に、雫の親友であり、彼女を支える存在である「香澄」の存在は、読者に安心感と温かさをもたらします。

ストーリー展開：切なさと希望が交錯するラブストーリー

物語は、蓮の過去の謎と、彼への雫の募る想いを軸に展開していきます。二人の距離が縮まるにつれて、過去の因縁が明らかになり、二人の関係は予期せぬ困難に直面します。切なさと希望が交錯するラブストーリーは、読者の心を揺さぶります。

特に印象的だったのは、二人が共にウェディング会場のデザインを進める中で、次第にお互いの心を開いていくシーンです。仕事を通して、互いの才能や情熱に触れることで、徐々に過去の壁が取り払われていく様子が描かれます。しかし、過去の出来事はそう簡単に乗り越えられるものではありません。二人の間には、誤解やすれ違いが生じ、読者はハラハラドキドキしながら、二人の行方を見守ることになります。

クライマックスと結末：感動の涙と温かい余韻

物語のクライマックスは、まさに圧巻です。長年抱えてきた誤解や痛みが、ついに解消される瞬間。蓮の記憶が戻るシーン、そして雫への想いを確かな言葉で伝えるシーンは、読者の涙腺を刺激します。藍まりと先生の描く、感情の爆発と、それに続く静かな安堵感は、言葉では表現しきれないほどの感動を与えてくれます。

そして、物語の結末。二人が再び結ばれるシーンは、これまでの苦しみや悲しみを乗り越えた、輝かしい未来への希望を感じさせます。純白のウェディングドレスに身を包んだ雫の姿は、まさに幸福そのもの。読後には、胸いっぱいの幸福感と、温かい余韻が残ります。

作品の魅力：絵の美しさと普遍的なテーマ

【中古】純白のウエディングの魅力は、何と言っても藍まりと先生の圧倒的な画力にあります。登場人物たちの表情の細やかな描写、衣装の繊細な描き込み、そしてロマンチックな背景美術。すべてが一体となって、読者を物語の世界へと深く引き込みます。特に、ウェディングシーンの描写は、息をのむほど美しく、まるで映画を見ているかのような感覚を覚えます。

また、本作は単なる恋愛物語に留まらず、「過去の傷」「再生」「愛の力」といった普遍的なテーマを扱っています。人は誰でも過去に囚われることがありますが、それを乗り越え、新たな一歩を踏み出すことの尊さが描かれています。愛する人の存在が、どれほどまでに人を強くし、希望を与えてくれるのか。そのメッセージが、読者の心に深く響きます。

まとめ

【中古】純白のウエディングは、美しい絵柄と、切なくも温かいストーリーが魅力の、珠玉のラブストーリーです。過去の傷を抱えながらも、愛を信じ、未来へと歩み出す二人の姿に、多くの読者が共感し、感動することでしょう。中古市場で見かけた際には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。読後には、きっとあなたの心にも、温かい光が灯るはずです。

上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください