【中古】神作家・紫式部のありえない日々 2 /一迅社/D・キッサン(コミック) 感想レビュー
唯一無二の世界観とキャラクター
「神作家・紫式部のありえない日々」の第2巻、独特のユーモアと、史実を大胆にアレンジしたストーリーテリングに、今回も魅了されました。平安時代を舞台に、あの紫式部が現代の作家のように振る舞うという設定自体が、まず斬新で、その奇抜なアイデアが作品全体を貫いています。
前巻で描かれた、紫式部(本作では「紫」と名乗っている)の作家としての苦悩や、周りの人々とのコミカルなやり取りは健在。第2巻では、さらに彼女のクリエイター魂が火を噴き、常識外れの行動がエスカレートしていきます。源氏物語の執筆にまつわるエピソードはもちろんのこと、現代的な感覚で描かれる平安貴族たちの日常は、史実を知る者にとっては「ありえない」の連続であり、それが爆笑を誘います。
特に印象的だったのは、登場人物たちのキャラクター造形です。紫はもちろんのこと、彼女を取り巻く藤原道長や、他の女房たち、さらには意外な人物までが、D・キッサン先生の手にかかると、生き生きと、そして強烈に個性を放ちます。彼らの言動の端々に、古典文学に登場する人物たちの影を感じさせつつも、現代的なギャグが巧みに織り交ぜられているのが見事です。例えば、道長が紫の原稿料を巡って悩む姿や、他の貴婦人たちが流行に敏感に反応する様子などは、思わずクスリとさせられます。
パロディとリスペクトの絶妙なバランス
本作の魅力の一つは、古典文学への深い理解と、それを現代的なエンターテイメントに昇華させる手腕です。紫式部や源氏物語に関する知識がなくても十分に楽しめますが、背景を知っているとより一層、ニヤリとできる仕掛けがたくさん隠されています。古典的な言葉遣いや風習をコミカルにデフォルメしつつも、根底にはリスペクトが感じられるのです。これは、単なるパロディに留まらない、作者の愛情の表れでしょう。
第2巻では、執筆活動にまつわるエピソードがさらに掘り下げられています。紫が締め切りに追われたり、スランプに陥ったりする様子は、現代のクリエイターなら共感できる部分も多いのではないでしょうか。そして、その苦悩から奇跡的な発想が生まれる過程が、ユーモアたっぷりに描かれているのが秀逸です。特に、彼女のインスピレーションの源泉となる突飛な出来事は、読者の予想を遥かに超えるものばかりで、ページをめくるたびに驚きがあります。
絵柄も、キャラクターの表情が豊かで、コミカルなシーンを最大限に盛り上げています。平安時代の衣装や建築なども丁寧に描かれており、視覚的にも楽しませてくれます。これらの要素が一体となって、独特の魅力を持つ世界観を構築しています。
次巻への期待
第2巻も、最初から最後まで、笑いと驚きに満ちていました。紫式部という偉大な作家を、ここまで自由奔放に、そして愛らしく描くことができるのは、D・キッサン先生ならではの才能だと改めて感じさせられました。
次巻では、源氏物語の物語がどのように展開していくのか、そして紫がさらにどんな「ありえない日々」を送るのか、期待は高まるばかりです。古典文学に興味がない方でも、純粋にコメディとして楽しめる作品だと思います。未読の方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
まとめ
「神作家・紫式部のありえない日々」第2巻は、唯一無二の世界観、魅力的なキャラクター、そして古典文学への愛情とユーモアが絶妙に融合した傑作です。史実を大胆にアレンジしたストーリーは笑いの連続であり、読めば読むほど、作品の奥深さと作者の創造力に感嘆させられます。平安時代を舞台にした現代的なコメディとして、高い完成度を誇っており、次巻への期待も自然と高まります。コミカルでありながらも、クリエイターの葛藤や情熱も垣間見え、読後感は爽快です。
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