『とある魔術の禁書目録』21巻 感想レビュー
『とある魔術の禁書目録』21巻は、物語の壮大なスケールがさらに拡大し、読者を圧倒する展開の連続でした。特に、上条当麻の置かれた絶望的な状況と、それを乗り越えようとする彼の不屈の精神が、これまで以上に胸を打つものとなっていました。
魔術と科学の衝突、そして人間の葛藤
21巻の中心となるのは、「大天使(メタトロン)」を巡る、魔術サイドと科学サイドの激しい攻防です。天使の力という、常識を遥かに超えた存在が現実世界に現れることで、これまで築かれてきた世界の秩序が根底から揺るがされます。上条当麻は、この途方もない事態に巻き込まれ、文字通り絶体絶命のピンチに追い込まれます。しかし、彼は決して諦めません。大切な人々を守るため、たとえどんな困難が立ちはだかろうとも、自分の信じる道を進もうとする姿勢は、読んでいるこちらまで勇気づけられます。
上条当麻の「右腕」が示すもの
上条当麻の能力である「幻想殺し(イマジンブレイカー)」は、この巻でもその真価を発揮します。しかし、21巻では、その能力だけではどうにもならない、より根源的な問題に直面します。天使の力、あるいはそれに類する不可解な存在の前では、魔術も科学も無力になりかねない。そんな状況下で、彼が拠り所とするのは、やはり人間としての強さ、そして他者を想う心でした。彼の「右腕」は、単なる能力の象徴ではなく、彼自身の人間性、そして彼が守ろうとする世界の象徴でもあるのです。
個性豊かなキャラクターたちの活躍
この巻でも、魅力的なキャラクターたちがそれぞれの立場で物語を彩ります。ヒロインたちはもちろんのこと、敵対するキャラクターたちにも、彼らなりの正義や信念があり、それが物語に深みを与えています。特に、「神の右席」といった強力な魔術師たちの登場は、物語のスケールをさらに大きくし、読者の期待感を高めます。彼らの繰り広げる激しい戦闘シーンは、絵の力も相まって、非常に迫力がありました。それぞれのキャラクターが抱える過去や思惑が交錯し、人間ドラマとしても見応えがあります。
怒涛の展開と読後感
21巻は、とにかく展開が目まぐるしいです。次から次へと繰り出される衝撃的な出来事に、ページをめくる手が止まりませんでした。特に、クライマックスに向けての怒涛の展開は、読者の心を鷲掴みにします。絶望的な状況から、どのようにして活路を見出すのか、その過程でキャラクターたちがどのように成長していくのか、目が離せません。
伏線の回収と新たな謎
これまでの巻で散りばめられていた伏線が、この巻で少しずつ回収されていく様子は、作者の巧みなストーリーテリングを感じさせます。しかし、同時に、さらに大きな謎や、今後の展開を予感させる要素も提示されており、次巻への期待を大いに高めてくれます。まさに、「禁書目録」シリーズの魅力が凝縮された一冊と言えるでしょう。
キャラクターへの感情移入
上条当麻だけでなく、彼を取り巻くキャラクターたちの葛藤や苦悩も丁寧に描かれています。彼らが直面する困難、そしてそれらを乗り越えようとする姿は、読者に強い共感を呼び起こします。特に、上条当麻と彼が守りたいと願う人々との絆の強さは、この物語の根幹をなす感動的な要素です。
まとめ
『とある魔術の禁書目録』21巻は、圧倒的なスケール感、手に汗握る展開、そして魅力的なキャラクターたちの活躍が織りなす、まさに王道とも言えるエンターテイメント作品でした。魔術と科学、そして人間のドラマが複雑に絡み合い、読後には深い感動と興奮が残ります。
次巻でどのような展開が待っているのか、今から待ちきれません。まだ読んでいない方は、ぜひこの感動を体験していただきたいと思います。
上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください


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