【中古】王家の紋章 8/秋田書店/細川智栄子(文庫)感想レビュー
壮大な物語の序盤、イシュタルの策略とキャロルの葛藤
「王家の紋章」第8巻は、物語がさらに深みを増し、読者を惹きつける展開となっています。前巻までの激動を経て、主人公キャロルはエジプトの国母としての立場を確立しつつも、依然として彼女を取り巻く環境は風雲急を告げています。特に、この巻で大きくフィーチャーされるのが、イシュタルの存在です。
イシュタルの狡猾さとキャロルの逆境
イシュタルは、その美貌と知略を武器に、キャロルを陥れようと陰謀を巡らせます。彼女の執念深さと、キャロルへの敵意は、読んでいるこちらまで息をのむほどです。キャロルは、エジプトの権力闘争の渦中に投げ込まれ、幼いながらも国母として、そしてメンフィスの民の希望として、重責を担わなければなりません。メンヘトの病という、キャロルにとって精神的に大きな負担となる出来事も描かれ、彼女の弱さと強さが同時に露呈します。メンヘトの抱える秘密が明かされることで、キャロルはさらに過酷な選択を迫られることになります。
アイドゥの存在意義とキャロルへの想い
一方で、メンフィス王であるアイドルの存在は、キャロルにとって心の支えであり、同時に苦悩の種でもあります。アイドルはキャロルを深く愛していますが、政治的な駆け引きの中で、その愛情表現がままならない場面も描かれます。アイドルの王としての苦悩と、キャロルへの一途な想いが交錯する様は、物語に奥行きを与えています。アイドルのキャロルへの深い愛情は、数々の困難を乗り越えるキャロルの原動力ともなっています。
古代エジプトのロマンと歴史的背景
細川智栄子先生の描く古代エジプトの世界観は、この巻でも健在です。壮麗な宮殿、神秘的な儀式、雄大なナイル川など、緻密に描かれた背景美術は、読者をまるで紀元前のエジプトにタイムスリップさせたかのような感覚にさせてくれます。当時の文化や風俗が生き生きと描写されており、歴史ロマンを掻き立てられます。ヒッタイトという強大な隣国との関係性も、物語の重要な要素として描かれ、エジプトの政治的緊張感を高めています。
キャラクターたちの成長と関係性の変化
キャロルは、メンフィスで激しい試練に幾度も直面し、精神的に大きく成長していきます。当初は戸惑いや不安を隠せない少女でしたが、次第に王妃としての自覚を持ち、知恵と勇気で困難に立ち向かう姿は応援したくなります。ライバルであるイシュタルとの対立も激化し、二人の知略の応酬は見逃せません。ミタムン、サリマといった脇を固めるキャラクターたちの個性的な描写も光っており、物語に深みを与えています。特にライバルであるイシュタルの存在感は際立っており、キャロルを追い詰める様は手に汗を握らせます。
緊迫感あふれる展開と次巻への期待
第8巻は、イシュタルの陰謀が最高潮に達し、キャロルが絶体絶命のピンチに陥る場面も描かれます。読者は固唾を飲んで、キャロルの運命を見守ることになるでしょう。緊迫感あふれる展開と、次巻への強い期待感を残し、幕を閉じます。アイドルとの関係の行方、イシュタルの企みがどうなるのか、次の巻が待ちきれません。
まとめ
「王家の紋章」第8巻は、キャロルを中心とした人間模様、政治的な駆け引き、そして古代エジプトのロマンが見事に融合した一冊です。イシュタルの悪役ぶりは光るものがあり、キャロルの成長も目覚ましいものがあります。中古で購入しましたが、物語の質は全く損なわれていません。長年愛され続けるだけの理由が詰まった名作だと再>認識しました。まだ読んだことのない方にもぜひ、おすすめしたい作品です。
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