【中古】 ジジジイ 1 / 小山 宙哉 / 講談社 [コミック]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】

【中古】ジジジイ 1 / 小山 宙哉 / 講談社【コミック】レビュー

「ジジジイ 1」、小山宙哉先生の作品を中古で購入し、拝読しました。普段から小山先生の作品には親しんでおり、特に「宇宙兄弟」で描かれる人間ドラマや、科学へのリスペクト、そしてユーモアのセンスには定評があります。本作「ジジジイ 1」も、そうした小山先生らしさが随所に散りばめられており、期待を裏切らない、いや、むしろ新たな一面を発見させてくれるような、そんな読後感でした。

独特の世界観とキャラクター造形

まず、本作の特筆すべき点は、その独特の世界観でしょう。一見すると、ちょっと変わった、どこか懐かしさを感じるような日常風景が描かれているように見えます。しかし、その中に潜む非日常、あるいはSF的な要素が、徐々に、しかし確実に読者を引き込んでいきます。この「日常に溶け込む非日常」というバランス感覚は、小山先生ならではの巧みな手腕だと感じました。

そして、登場人物たち。特に主人公である「ジジジイ」こと、おじいさんのキャラクター造形は秀逸です。一癖も二癖もある、いや、むしろ「癖の塊」と言っても過言ではないような人物像なのですが、それが不思議と憎めない。むしろ、その愛すべきキャラクター性に、読んでいるうちにどんどん惹きつけられていきます。彼の言動、思考回路、そして過去に秘められたであろう物語の断片が、読者の想像力を掻き立てます。脇を固めるキャラクターたちも、それぞれに個性豊かで、ジジジイとの掛け合いが物語に彩りを添えています。彼らが織りなす人間模様が、本作の大きな魅力の一つと言えるでしょう。

ユーモアとペーソス

小山先生の作品に共通して言えることですが、本作もユーモアとペーソスのバランスが絶妙です。クスッと笑えるシーンが満載である一方で、ふと胸を締め付けられるような、切ない感情も呼び起こされます。特に、ジジジイの抱える過去や、彼を取り巻く人間関係の中で描かれる感情の機微は、読者の心に深く響きます。人生の機微、生と死、そして人間が抱える普遍的な悩みや喜びが、シリアスになりすぎず、かといって軽薄にもならず、丁度良い按配で描かれているのが小山先生の凄さだと感じます。

「宇宙兄弟」との繋がり（考察）

「宇宙兄弟」のファンとしては、本作に、もしかしたら「宇宙兄弟」の世界観やキャラクターと何らかの繋がりがあるのではないか、という想像を掻き立てられる部分も多くありました。直接的な言及はありませんが、描かれるテクノロジーや、登場人物たちの考え方、そして物語の根底に流れる「夢を追うこと」や「諦めないこと」といったテーマは、共通するものを感じさせます。これは、小山先生が描く物語全体に共通する、一種の宇宙であり、その一部が「ジジジイ」という形で具現化されたのではないか、とまで思えてきます。あくまで個人的な解釈ではありますが、こうした想像の余地があることも、本作の面白さの一つでしょう。

絵柄の進化と安定感

小山先生の絵柄は、初期の頃から比べると、より洗練され、キャラクターの表情や感情の機微を巧みに表現できるようになっていると感じます。本作でも、その安定感のある描写が、物語の世界観をより一層深めています。特に、ジジジイの表情の変化や、周囲とのやり取りにおける仕草などは、言葉以上に多くのことを語りかけてくるようです。コマ割りのテンポも良く、読者を飽きさせない工夫が随所に見られます。

中古購入という体験

今回、中古で購入したわけですが、状態の良いものが届き、全く問題なく読むことができました。電子書籍も便利ですが、やはり紙媒体で作品を読むことには、また違った良さがあります。手触り、インクの匂い、そしてページをめくる感覚。古書ならではの、ほんの少しの傷や汚れが、かえって作品に深みを与えているようにも感じられました。

まとめ

「ジジジイ 1」は、小山宙哉先生の持ち味である、ユーモア、感動、そして独特の世界観が凝縮された、非常に魅力的な作品でした。一見すると日常的な物語の中に、読者を惹きつける仕掛けが散りばめられており、あっという間に読み進めてしまいました。特に、主人公ジジジイのキャラクターは、一度読んだら忘れられない強烈な印象を残します。

「宇宙兄弟」で小山先生のファンになった方、あるいは、心温まる物語や、ちょっと不思議な世界観の作品を求めている方には、ぜひ一度手に取っていただきたい一冊です。本作を読むことで、きっと新たな発見や感動があるはずです。中古でも十分楽しめる作品ですので、興味を持たれた方は、ぜひ探してみてください。次巻以降も、非常に楽しみです。

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