【中古】久保さんは僕を許さない 11/集英社/雪森寧々(コミック) 感想レビュー
「久保さんは僕を許さない」第11巻、ついに手に取りました!中古品とのことでしたが、届いたものは大変綺麗な状態で、すぐにでも物語の世界に没頭できる喜びを感じました。雪森寧々先生の描く、繊細かつ瑞々しい青春のきらめきが詰まったこの作品、11巻も期待を裏切らないどころか、さらに読者の心を掴んで離さない展開でした。
新展開への序章、そして関係性の変化
今巻は、これまでの「久保さんと白石くん」の、ほんのりとした距離感と、お互いを意識し始める甘酸っぱいやり取りが、より一層深まっていく印象を受けました。特に、周囲の友人たちの存在が、二人の関係にどのような影響を与えていくのか、その序章とも言えるエピソードが印象的でした。白石くんの「普通」でありたいという気持ちと、久保さんの「普通」じゃない特別さを求める気持ちのぶつかり合いは、読んでいるこちらまでドキドキさせられます。
白石くんの葛藤と成長
白石くんの抱える繊細な感情が、今巻でより浮き彫りになったように感じます。彼は「目立たないこと」「普通であること」に安堵を覚えつつも、久保さんの特別な存在感に惹かれていく自分をどう捉えれば良いのか、戸惑っている様子が痛々しくも愛おしいです。久保さんの屈託のない好意に対して、素直になれない自分を責める姿は、まさに思春期男子のリアルな心情を描写していると言えるでしょう。しかし、その葛藤こそが、彼が久保さんとの関係を真剣に考えている証拠でもあります。少しずつ、でも確実に、白石くんは成長しているのだと感じさせられました。
久保さんの変わらぬ魅力と、秘めた想い
一方、久保さんの「久保さんは僕を許さない」というタイトルにあるように、彼女の揺るぎない「白石くんへの好意」は健在です。むしろ、白石くんの戸惑いや反応を目の当たりにするたびに、その想いは強まっていくように見えました。彼女の行動一つ一つに、白石くんへの深い愛情と、彼に振り向いてほしいという切実な願いが込められています。時折見せる、少しだけ寂しげな表情や、真剣な眼差しは、彼女の可愛らしさだけでなく、その内面に秘めた情熱をも感じさせ、読者の母性本能(あるいは父性本能?)をくすぐります。
心温まる日常と、胸を締め付ける瞬間
今巻でも、二人の何気ない日常の描写が、読者の心を温かく包み込んでくれます。学校での出来事、友人との交流、ふとした瞬間の会話。それら全てが、甘酸っぱい青春の輝きとして描かれており、読んでいるこちらまで、あの頃の初々しい感情を思い出させてくれます。しかし、その温かさの中に、時折、白石くんの「普通」という壁や、久保さんの「許されない」という状況が、切ない影を落とします。そのコントラストが、物語に深みを与え、読者の感情を揺さぶります。特に、ある出来事をきっかけに、二人の関係が少しだけ変化するシーンは、胸が締め付けられるような切なさと、それでも前に進もうとする希望を感じさせ、強く印象に残りました。
キャラクターたちの個性が光る
脇を固めるキャラクターたちも、相変わらず魅力的です。彼らの個性的な言動が、物語に彩りを添え、二人の関係性の変化をより際立たせています。白石くんの友人たちとのやり取りは、クスッと笑える場面もあり、緊張感のある展開の中で、良い息抜きになっています。また、久保さんの友人たちの存在も、物語に新たな側面をもたらしており、今後の展開がさらに楽しみになります。
絵のタッチと表現力
雪森寧々先生の描く絵は、相変わらず繊細で、キャラクターたちの表情や仕草が非常に豊かに表現されています。特に、感情の機微を描写する際の、微妙な表情の変化や、視線の動きは秀逸です。白石くんの困惑、久保さんの期待、それぞれの想いが、一枚の絵の中に凝縮されており、言葉以上に多くのことを語りかけてきます。モノローグだけでなく、視覚的な表現でキャラクターの心情を巧みに伝える手腕は、さすがだと感じました。
次巻への期待
11巻を読み終えた今、次巻への期待がますます高まっています。白石くんと久保さんの関係は、一体どこまで進展していくのでしょうか。二人の「普通」と「特別」の狭間で、どのような選択をしていくのか。そして、周囲の人間関係が、彼らにどのような影響を与えるのか。全てが気になり、待ちきれない気持ちでいっぱいです。
まとめ
「久保さんは僕を許さない」第11巻は、これまでの物語の集大成とも言える、非常に読み応えのある一冊でした。白石くんと久保さんの関係性の変化、キャラクターたちの心情の機微、そして温かい日常と切ない瞬間が織りなす物語は、読者の心を強く惹きつけます。雪森寧々先生の描く、繊細で美しい世界観に、これからも夢中になってしまうことでしょう。未読の方も、ぜひこの甘酸っぱくも切ない青春物語に触れてみてください。きっと、あなたの心にも温かい光が灯るはずです。
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