【中古】Dan　Doh！！ 17 /小学館/万乗大智（コミック）

マンガ

2025.12.03

『Dan Doh！！ 17』：万乗大智先生の描く熱血ゴルフ漫画、その魅力を徹底レビュー！

『Dan Doh！！ 17』：万乗大智先生の描く熱血ゴルフ漫画、その魅力を徹底レビュー！

今回レビューするのは、万乗大智先生による熱血ゴルフ漫画『Dan Doh！！』シリーズの第17巻です。スポーツ漫画、特にゴルフ漫画というジャンルは、単に技術的な描写だけでなく、登場人物たちの内面的な葛藤や人間ドラマも魅力の一つです。本書は、そんなゴルフ漫画の醍醐味を存分に味わえる一冊と言えるでしょう。前巻までの展開を踏まえ、主人公・神渡聡（かみわたりさとし）をはじめとするキャラクターたちの成長、そしてライバルたちとの熾烈な戦いが、この17巻でどのように描かれているのか、じっくりと紐解いていきます。

白熱する試合展開とキャラクターの進化

『Dan Doh！！ 17』の最大の魅力は、やはり試合の熱量にあります。主人公の神渡聡が、強敵との対峙を通じて、自身のゴルフスタイルを確立し、精神的にも大きく成長していく姿は、読者の心を強く惹きつけます。この巻でも、幾つかの重要な試合が描かれており、それぞれの試合が単なる勝敗の行方だけでなく、キャラクターたちの信念やプライドをかけたぶつかり合いとなっています。

特に印象的だったのは、神渡聡が自身の弱点と向き合い、それを克服しようと奮闘する場面です。彼は、単に才能に恵まれたプレイヤーというだけでなく、努力と探求心をもってゴルフと向き合っていることが、その行動から伝わってきます。ライバルキャラクターたちも、それぞれに抱える過去や葛藤があり、そのドラマが試合に深みを与えています。彼らのプレイ一つ一つに、これまでの経験や想いが込められているのが感じられ、読者は感情移入せずにはいられません。

ゴルフ描写のリアリティとエンターテイメント性の融合

万乗大智先生の描くゴルフ描写は、常にリアリティとエンターテイメント性の絶妙なバランスが保たれています。専門的なゴルフ用語が随所に登場し、ショットの軌道や風向き、グリーン上の傾斜といった細部まで丁寧に描写されているため、ゴルフを知らない読者でも、試合の状況をイメージしやすくなっています。しかし、単なる技術解説に終始することなく、キャラクターたちの感情の動きや、試合の緊迫感を高める演出が巧みに織り交ぜられています。

例えば、ある場面では、神渡聡が極限のプレッシャーの中で放つ一打に、これまでの彼の歩みと未来への決意が凝縮されているかのような描写があります。こうした「ここぞ」という場面でのドラマチックな演出は、読者に鳥肌が立つほどの興奮を与えてくれます。また、ゴルフというスポーツの持つ「一打にかける集中力」や「風のいたずら」、そして「運命のいたずら」といった要素が、物語に予測不能な面白さをもたらしています。

キャラクターたちの人間ドラマ

『Dan Doh！！ 17』は、ゴルフの試合だけでなく、登場人物たちの人間ドラマも豊かに描かれています。神渡聡を取り巻く友人たち、そして彼に刺激を与え、時には厳しく指導する先輩やコーチたちの存在が、物語に温かさと深みを与えています。彼らの友情や師弟関係は、神渡聡が困難を乗り越えるための大きな支えとなっています。

特に、ライバルキャラクターたちとの間にも、単なる敵対関係ではない、リスペクトや共感が芽生える瞬間が描かれているのが印象的です。彼らもまた、それぞれの立場でゴルフに情熱を注いでおり、その情熱がぶつかり合うことで、より一層、物語に厚みが増しています。

次巻への期待感

『Dan Doh！！ 17』は、これまでのシリーズの集大成とも言える、完成度の高い一冊です。熱い試合展開、魅力的なキャラクター、そしてゴルフというスポーツの奥深さが、見事に融合しています。読後には、神渡聡のさらなる成長と、彼を待ち受けるであろう更なる試練への期待感が、胸いっぱいに広がります。

万乗大智先生の筆致は、今回も健在で、キャラクターたちの表情や仕草の一つ一つが生き生きと描かれています。ページをめくる手が止まらなくなるほどの中毒性があり、ゴルフファンはもちろん、スポーツ漫画ファン、そして熱い人間ドラマを求める全ての人に、自信を持っておすすめできる作品です。この17巻で、物語がどのようにクライマックスへと向かっていくのか、次巻が待ちきれません。